栽培の特徴
種類 | 科目 | 適正土壌pH | 連作障害 | 栽培難易度 |
ピーマン | ナス科 | 6.0~6.5 | あり 輪作4年 | ☆ ☆ |
基本情報
- 科名属名:ナス科トウガラシ属
- 原産地:中央アメリカから南アメリカの熱帯地域
- 分類:半耐寒性,一年草,草本
- 日照条件:日なた
- 生育適温:20℃から30℃前後
- 水やり:乾燥させない
- 特徴:連作障害が表れやすい野菜です。トマトやナスなど、ナス科の野菜を植えた畑では、4~5年経ってから植えつけましょう。獅子唐と混植で獅子唐がからくなる。他のナス科の植物と混植すると生育が悪くなる。
- 樹高:低木(60cm~120cm)
- 種まき期:3月~4月
- 植えつけ期:4月下旬~6月上旬
- 開花期 5月~9月下旬
- 収穫期 6月上旬~10月中旬
- 植えつけから収穫までの期間 60日前後
- 開花から収穫までの期間 20日前後
ピーマンはもともと中央アメリカから南米の熱帯地域に分布する野菜でした。ヨーロッパに伝えられたのは、アメリカ大陸を発見したコロンブスによって、1493年にスペインに初めて紹介され、ヨーロッパ全域へ広まりました。日本には16世紀に伝わったとされています。
ピーマンとトウガラシは同じカプシクム属(Capsicum annuum)で、日本では、辛味のあるものをトウガラシ、辛味がないものをピーマン(甘トウガラシ)と呼んでいます。ただし、激辛のハバネロやハラペーニョなどは、別種(Capsicum chinense/シネンシス種)になります。
ピーマンの仲間の小果種がいわゆるシシトウガラシです。菜園に植えたシシトウが辛くなってしまうのは、トウガラシの花の花粉を受粉した結果ではなく、水不足などのストレスを受けて辛味が増すためです。
ピーマンは、カロテン、ビタミンCを多く含ム野菜で大変栄養価の高い野菜ですが、昔から子供が食べられない野菜の代表的なイメージがあるのは私だけでしょうか。
ピーマンの代表的な品種
グリーンピーマン 緑ピーマン
スーパーでよく見かけるのがこのタイプです。最も多く流通している品種のピーマンでどんな料理にも利用しやすいオールマイティーな品種です。
レッドピーマン 赤ピーマン
赤色をしたピーマンの総称で、グリーンピーマンが完熟して赤ピーマンになります。完熟すると皮が柔らくなり、臭みがなくなり甘みが増します。
こどもピーマン
ピーマンが嫌いな子供でも食べられるピーマンとして、タキイシードが2010年に品種改良した新種のピーマンで、苦みと臭いを抑えた小型の緑ピーマンです。辛み成分カプサイシンを全く含まないピーマンです。
パプリカ
パプリカもまたピーマンの一種です。果肉が厚くふっくらと丸身を帯びた形と、どこかプラスチックみたいなつやのある、カラフルで鮮やかな外見が特徴的です。サラダやマリネ炒め物などによく用いられます。
その他の品種
そのほかには、黄色いババなのような形をしたバナナピーマン、色鮮やかで赤黄オレンジなどの色をしている糖度の比較的高い品種であるフルーツピーマンなど意外と多種が存在しています。
栽培のコツ
栽培期間や適正気温
ピーマンの栽培期間は長く、苗の定植からでも通常150日前後です。生育の適温は25℃から30℃前後と高温で、温暖な環境を好みます。発芽適温は15℃から25℃くらいです。
連作障害
ピーマンは連作障害が起きやすい野菜です。他のナス科の野菜を栽培したところでは4年以上いあけてください。
同じ場所でナスを育て続けると、土壌障害が発生します。よい微生物が減り、悪い微生物が増え、結果悪い病原菌が増え続けます。病原菌が増えると、特定の病原菌が作物について繁殖していきます。さらに、同じ先もつの定植を繰り返すと、悪い病原菌が大繁殖してしまい、土壌に病原菌がいっぱいになってしまい、作物の成長に悪影響を及ぼします。
栽培スケジュール
畑の準備
土つくり
- 種まきの2週間ぐらい前に畑に苦度石灰をまき土壌を中和し、よく耕します。適正土壌pHは6.0~6.5です。
- さらに7日から10日前までに、元肥を施し深く耕します。元肥の目安は1㎡あたり約2kgの完熟たい肥です。同時に化成肥料を施肥しておくといいでしょう。
- 畑の石や木片など根の障害になるようなものは取り除いておきましょう。
畝立て
- 水はけを良くするために、幅60cm高さ10cmほどの畝を立てマルチを張ります。
- マルチを張ることで土の跳ね返りによる病気を防ぎ、土を保温し生育を促進んしてくれます。
栽培管理
種まき、植え付けと株間
- 種から育てる場合は、ポットなどに3から5粒以上パラパラっと播き、1cmほど軽く盛り土しておきます。
- たっぷり水をやり、本葉2枚~4枚のころから段階的に間引き、最終的に1本立ちにします。
- 家庭菜園では、ピーマンは苗から栽培するのが一般的です。少々値段は高くなりますが苗を買うときは、病気などにも強く連作障害の出にくい接木苗をお勧めします。
- 植え付けの株間は、40cm~60cmぐらい確保して、マルチに穴をあけて植えつけます。
- 植え付け後は風で倒れないように仮支柱を立ててやりす。
トンネル
- 苗が小さいうちは害虫から守るためにネットや不織布でトンネルを作っておくと、冷間対策や鳥よけ害虫対策にもなります。
仕立て方
放置して栽培する
ピーマンはナスに比べ株が小さく葉もあまり大きくなりません。真ん中に一本支柱を主枝を支えるように立てて、放任して育てることもできます。しかしながら、しっかり育て方は3本仕立てにして育てることをお勧めします。一番花より下の枝は、生育しにくいので早いうちに摘み取りましょう。
3本仕立て
ピーマンは2本から3本仕立てや4本仕立てで育てる事ができます。中でも一番一般的なのは3本仕立てです。3本仕立ての場合は、上に伸びる主枝と、主枝の一番花が咲くところから分かれた2本の主枝から、そのどちらか一方の最初の脇芽を3本目の枝としてのばします。
支柱
3本仕立てで育てる場合
3本の支柱で固定する
3本仕立てで育てる場合、150cmの支柱を3本用意して主枝と育てる脇芽2本に沿って支柱を建てます。3支柱を互いにクロスさせるようにして土中に刺して、交わったところを麻紐やナイロンの日もなどで縛ると固定できます。3本の枝をそれぞれの支柱に沿って誘引しながら栽培するようになります。
1本の支柱だけしか使わずに3本の枝をサポートするには
株から10㎝くらい離れた場所に、2本の主枝の内の一方に沿って180cmの支柱を1本垂直に立てて、支柱の上部に60㎝~80㎝くらいの紐を2本くらいむすび、それぞれの先端にのばしている他の2本の枝を結び付けて、上からつる下げるように固定します。低コストで簡単に安定したサポートができます。
支柱の立て方についてはより詳しくこちらのページにまとめてありますので参照してください。
追肥
ピーマンは肥沃な土を好みます。こまめに追肥して肥料切れを起こさせないように育てましょう。ナス科の植物は一般的に根を深く伸ばし成長していく野菜ですので、株の周りにスコップや棒などで数か所穴をあけて施肥してあげましょう。追肥の頻度は役2週間に一度くらいで、収穫終了まで続きます。
一回の追肥量は、一株当たり化成肥料で片手一握りぐらいを目安に成長を見て行います。
また、施肥する場所は、株の成長に従って根の外周も広がっていきます。はじめは株元から10cmから15cmくらい離れたとことに与え、その後は成長を見ながら株から徐々に離れた位置に施肥していくことになります。
肥料切れや水きれを起こすと
ピーマンは甘トウガラシの一種です。甘トウガラシ類は、一般的に肥料切れや、水きれをおこすと突発的に激辛の実をならせます。見た目は全く変わらないので、食べてびっくりな実が混じっていることがあります。肥料と水あげを忘れないようにしましょう。
収穫
品種によって若干異なりますが、実が成長してある程度の大きさになったら収穫します。どんどん収穫しないと次の花がもう咲いてきています。ピーマンもまた、甘トウガラシ類でナスなどと同様、一般的にたくさん花を咲かせて、その花がほとんど実になります。
コンパニオンプランツ
〇 混植に適している植物 good
野菜類
- 枝豆
- ネギ類
- ほうれん草
花類 ハーブ類
- マリーゴールド(虫よけ)
- サルビア(虫よけ)
- カモミール(虫よけ 野菜を元気にする)
- ミント(虫よけ)
- バジル
〇 前作に植えるとよい植物 good
- トウモロコシ
- マリーゴールドなど
〇 後に植えるとよい植物 good
- キャベツ
- ブロッコリー
× 混植に適さない植物 bad
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- ナス科全般の野菜との混植は互いに生育を妨げる
- 特にピーマンやナスは水を吸収して獅子唐に水きれをおこさせる
- トマトとは必要水分量が違いすぎて栽培が難しい