白菜やキャベツ、小松菜などのアブラナ科の野菜やほうれん草やレタスなどの栽培には支柱は必要ないのですが、マメ科のつる性の野菜やトマトやナスなどの夏野菜の栽培には支柱の設置が必要になます。夏に台風がやってきても耐えられるような頑丈な支柱を立てて、野菜を守ってあげましょう。また、春には、植え付けて間もない苗が風で折れてしまわないように仮支柱を立てて苗を守ってあげることも大切な作業の一つです。
ホームセンターや農業資材を扱うお店に行くと様々な長さや太さの支柱が販売されています。よく店頭で見かける支柱の種類からその使い方、栽培する野菜によってどのような支柱を使い、どのように設置したらよいのかを栽培する野菜ごとのにまとめておきたいと思います。
支柱の種類
いろいろな支柱がホームセンターなどで販売されているのでどれを使ったらいいのかなかなか悩むところではないでしょうか。
まっすぐな緑色のシンプルな棒状の園芸用支柱からジョイントなどが付いていて折り返して三角形の合掌型の支柱が簡単に設置できるセット商品や支柱自体が渦巻型になっているものまで、数えきれない種類の支柱が販売されています。
栽培する野菜や仕立て方によって使用する支柱は異なりますので、どんな種類の支柱がありどのように使うかは、その都度詳しく説明させていただくとしてここではここでは簡単に主要なものの名称と画像などをご紹介しておきます。
園芸支柱
シンプルな棒状のもので様々な長さと太さがあります。鋼製の筒棒に緑色のコーテイングがされている場合が多くイボが付いているイボありとイボがないものがあります。
トンネル支柱
トンネル栽培などを行うときに用いられるU字型に加工された支柱です。植えん幅によって大小様々なサイズが選べます。
天然竹支柱
天然の竹を120cm程度に切りそろえたものです。大きさにはばらつきがありますがとにかく1本あたりの価格は安く、大量に使う場合は便利です。
棚支柱などの各種セット商品
ジョイントやネットなどが付いている便利なセット商品もたくさん販売されています。栽培する野菜や仕立て方に応じていろいろな種類があり、プランターなどへの設置も簡単に行えるものも出回っています。
アーチ支柱
大型のU字支柱です。1本でアーチができるのでトマトの雨よけなどにもよく使われています。キュウリ栽培などに用いられるパイプでつないで使用する大型のアーチパイプなどもあります。
トマトポール
くねくねしたらせん状に曲げられた1本のポールでトマトの1本立ちがこのポーリ1本で簡単に仕立てられます。
その他
その他にも園芸用としてはバラなどのつる性の花木を仕立てるフラワーアーチや装飾を施した鉄製のフェンスなどたくさんの種類があります。
園芸店やホームセンターなどでは、プランターなどにも立てやすい鳥かごのような形のものもよく見かけます。
いろいろの形の支柱がありますが、今回はシンプルな園芸用支柱の立て方をまとめていきたいと思います。
園芸用支柱
今回取り上げている園芸用支柱とは、数ある種類の支柱の中から、シンプルな1本の棒型の支柱です。100円ショップでもよく売られているもので、長さや太さが違うものがたくさんありますが園芸店ではだいたい1本100円~200円前後ぐらいで販売されています。
ホームセンターや園芸店よりも100均のほうが安いのですが、強度的にも商品によってばらつきがありますので、少々高くても商品をよく見て選んだほうがいいと思います。長さや太さが選べる園芸ショップやホームセンターに行ってみてみましょう。わたしも100均製品を使っていますが折れやすくてカバーが外れやすいのは事実ですが、ただ値段が安いので重宝しています。100均では長さも180cmと90cmの2種類しかなかったりしますが、ホームセンターや園芸店でよく売られている園芸用支柱を見ていきましょう。
園芸用支柱のタイプ
園芸用支柱のタイプは大きく分けて表面がつるつるのタイプと突起が付いているイボ竹タイプの2つに分けられます。
イボあり支柱もイボなし支柱もそれぞれいろんな長さや太さのものが出回っています。長さは90cmくらいから長いもので240cmのものが一般的で太さは直径0.8cmから直径2cmくらいのものがよくつかわれています。太さが太いほうが強度が増しますがその分価格も高くなってしまいます。茄子の3本仕立てなどの場合は150cmくらいでいいので比較的細いタイプでもいいのですが何回か使っているうちに折れてしまったこともあるのでできれば太いタイプを使ったほうがいいようです。かといっても金額的なこともあり、細いタイプほうが取り扱いも簡単なのでどちらを選ぶかは難しいところです。余裕があれば太いほうがいいですね。わたしは180cm以上になると16mm以上の太いタイプを使っています。
園芸用支柱を立てるときのポイント
それぞれの立て方を説明する前に支柱を立てるときに注意するポイントをまとめておきました。
支柱は深く挿す
支柱を土に挿す際はできるだけ深く差しこみましょう。支柱の長さを選ぶときは土の中にだいたい20cmから30cmくらい入ることを考えて長めの支柱を選ばなくてはいけません。また、支柱には土に差し込む側と天を向いている側があり尖っているほうを土に挿すようにできています。
支柱はまっすぐ挿す
支柱の抜き差しはできるだけまっすぐにするようにしましょう。土に挿した支柱に対して横に力がかかると折れてしまう事があります。細い支柱は特に折れやすいのでまっすぐに抜き差しするようにしましょう。
ジョイント部分
ジョイント部分は麻紐やナイロンのひもなどで強く結びます。最近ではジョイント部分を簡単に固定できる専用のクロスジョイントなども購入できますが。合掌型の頂点などのように3つのポールが交あうところなどはナイロンひもなどで特に強く結ばないといけません。
園芸用支柱の立て方、仕立て方
トマトポールや棚支柱セットなどを購入すると立て方の説明書なども同封されているケースが多く簡単ですが、ここでは主にシンプルな園芸用支柱を使った方法を解説しています。
シンプルな棒と紐などを使って頑丈な支柱を立てる方法は昔から伝わっておりいろいろあるのですが、主要なものはだいたい以下の7つです。
- 直立型
- 合掌型
- 櫓型(やぐら型)
- アーチ型
- V字型
- 3本仕立て支柱
- クレーン型
それではここからは、それぞれの型の具体的な立て方やどんな時に適しているかを説明していきます。
直立型支柱
直立型支柱での栽培に適している野菜
エンドウやインゲンなどのつる性のマメ科野菜やトマトの栽培に適しています。ネットなどを張ってキュウリの栽培にも丁度いい形ですが、畝の両端に2本づつ植えつける場合には、誘引する面が1面しかないので向いていません。2本づつ植え付ける場合は合掌型の支柱を立てるかU字型支柱を使って誘引面が2面できるように支柱を立てなければなりません。
直立型支柱の立て方
準備するもの(180㎝ほどの畑に胡瓜を栽培する場合を想定しています)
- 210㎝以上の支柱6本~8本くらい(210cm×5本と120cm×2~3本くらいでも大丈夫です)
- クロスジョイント4個程度
- ナイロン紐や麻紐など
- きゅうりネット1辺が180㎝でもう片方が180cm以上のもの1枚
きゅうりネットは180cm×360cmのものがよく売られているます。少々余ってしまいますがこちらでも大丈夫です。
①垂直に支柱を2本立てる
畑の中心あたりに支柱を1本寝かせて垂直に立てる支柱の場所を決めます。両端の支柱が垂直に渡す支柱の長さより長くなってしまわないように注意してください。
両端の場所が決まれば畝幅の中心あたりに2本垂直に支柱をさします。
②水平の支柱を入れる
垂直に立てた2本の支柱の上と下にクロスジョイントで水平の支柱を付けて四角形を作ります。
③ネットをはる
上の水平支柱にネットの端を通します。180cmの方を通してください。
下側のの水平支柱にもネットを通してから、ネットをほぐして横に伸ばしてます。両端を垂直に挿した2本の支柱にそれぞれ結び付けます。結ぶときには紐を使ったりクロスジョイントにひっかけたりしてネットを固定しておくとよいでしょう。
④支柱を補強する
支柱が倒れないように補強します。
補強には両端の支柱に斜めに1本ずつ入れたり、水平支柱の真ん中あたりに新たに垂直に支柱を入れたりすると良いでしょう。斜めに入れるのは短い支柱でも大丈夫です。
ジョイント部分はクロスジョイントがなくても紐でしっかり結び付けるだけでも大丈夫です。むしろ強度的には結び付けたほうが安定するのではないでしょうか。
ネットがなくてもナイロンのひもを巻いて誘引することができます。
畝の両端に植えつける場合が多いので直立型よりも合掌型を立てることのほうが多いのですが、アスパラガスなどの支柱には直立型が向いています。
合掌型支柱
合掌型支柱での栽培に適している野菜
合掌型支柱はトマトなどの背が高い野菜などを育てるときによく見かけます。畝の両端に植えつけた野菜を一度にサポートできる便利な方法で、ネットなどを張ってそのままエンドウやインゲンなどのマメ科の栽培やキュウリの栽培にも適しています。
合掌型支柱の立て方
準備するもの(180cmくらいの畑にエンドウなどの栽培を想定しています)
- 210cm~240cmくらいの支柱9本から合掌を3か所作る場合は11本(さらに補強したい場合+2~4本)
- ナイロンなどの紐
- ジョイントクリップ(あれば便利)
- 園芸用ネット(インゲンやきゅうりネットなど)180cm×360cm 1セット
①地面に4本から6本の支柱を斜めに挿す
はじめに畝の真ん中あたりで2本の支柱の先端で交差する二等辺三角形を作るように2本の支柱を畑を挟んで斜めに差し込みます。ジョイントクリップなどがあれば1本に対して2個くらい取り付けておけばいいでしょう。このようなセットを180cmに長さの畑でその両端に2組と真ん中に1組立てておきます。
②水平の支柱を入れて固定する
3本から5本の支柱を水平に使って支柱を固定します。
地面から合掌部分までの間に1か所か2か所それぞれの支柱にジョイントクリップなどで水平の支柱を入れて、合掌部分の上に1本支柱を水平に置いて紐で強く固定します。
③ネットをかけて完成
ネットのかけ方には規則などはないのですが、180cm×360cmのネットなら180cmの方を水平に付けた支柱の内一番下の1本に通します。むすび紐が付いている場合は何か所か結び付けるだけでも構いません。
そのままネットを上に広げてネットのちょうど真ん中あたりの両端を、支柱両端にある合掌部分にひっかけて折り返します。
折り返しに所は1回ではなかなか決まりません。あとから簡単に調整できるのではじめは仮止めのような形でいいので適当なところでひっかけておいたほうがスムーズに設置できます。
両端の合唱部分にひっかけたらそのまま下におろしてもう1辺の下段水平支柱に結びつけます。下段に数か所結び付けてから最終的に合掌部分の折り返しの位置を調整しなおしましょう。
そうするとバランスがとりやすくなります。最後に両端をナイロンひもなどで垂直支柱に結び付けてバランスをとりましょう。
100均で買った支柱です。数年使っているとこのようにカバーが破れて鉄柱がむき出しでさびてきています。
全体的にバランスを見て支柱に結んだネットの位置を調整して完成です。
3本仕立て支柱
3本仕立て支柱で栽培する野菜
ナスやトウガラシなどのナス科の野菜の栽培に適した仕立て方です。
3本仕立て支柱の立て方
準備するもの(茄子の3本仕立て支柱を想定しています)
- 150cmの支柱3本
- ナイロンや麻紐
①3本の支柱を斜め差し込む
3本仕立てのそれぞれの枝が成長した時を想定して、その枝をそれぞれ沿わすことができる位置に支柱をさします。3本の支柱はそれぞれ苗を植え付けたところから10㎝~20cmくらい離れたところに立てて、苗から10㎝くらい離れたところで交わうようにするとうまくいきます。
3本の枝がそれぞれ放射状に外に向かって伸びていくようにバランスをとり、真上から見たときに真ん中に空間ができるように仕立てるのがポイントです。真ん中を開けて3本の枝にうまく日が当たるように設置してください。
②紐で3本の支柱を固定する
支柱がクロスするところを紐で強く結びつけて完成です。
③成長と主に支柱の位置を変える
ナスの成長とともに支柱の位置や角度を変えて交差している位置も結びなおして変えることができます。
④枝の誘引
枝は支柱に沿わして誘引し、紐で結び付けておきましょう。
クレーン型支柱
クレーン型支柱で栽培する野菜
ピーマンや獅子唐、万願寺トウガラシなどの甘トウガラシ類やナスなどの栽培でも使用できます。クレーン仕立てのメリットは支柱が1本しか必要ないところです。
また、特にプランターで唐辛子類を栽培する際などはクレーン型支柱にすると簡単に設置できます。畑でピーマンなどを栽培するときは150cmの支柱を使い、プランターでピーマンなどを栽培するときはそれより短めの120cmから獅子唐などの樹高がより低い野菜の場合は110cmの支柱を使うこともできます。強度的にはその他の立て方には劣りますが、比較的簡単に設置でき何よりも支柱1本でナス科の3本仕立てがサポートできるのでプランター栽培などではよく使う方法です。
クレーン型支柱の立て方
準備するもの(プランター(浅型10号鉢)に万願寺唐辛子を植え付ける場合)
- 120cmの支柱1本
- ビニールの紐
①支柱を垂直に立てる
植え付けた苗から10cm~3cm離れたところに垂直に1本の支柱を立てます。支柱を立てたら苗の主枝を誘引しておきましょう。
支柱を立てる位置は根の干渉を防ぐために10㎝くらいあけるのがいいのですが、実際3㎝くらいでも栽培はできます。(3cmにするメリットはあまりありません)
②主枝を1本決める
一番花が咲いた上あたりで2本から3本に分岐するのでそのうちは1本を主枝として垂直に誘引していきます。
③枝を紐でつるす
枝が成長ししてきたら枝の先を軽く結んだ紐を支柱の上のほうに結んでつるします。
枝の成長とともにつるす位置を変更していきます。
支柱に結び付けた位置は成長とともに上に移動して、枝に結んだ場所も先の方に移していくと良いでしょう。クレーン型支柱はトウガラシ類などの実が比較的軽いナス科の野菜に適しています。
やぐら型支柱
やぐら型支柱に適した野菜
やぐら型支柱は垂直に立てた複数の支柱を、支柱の上部で連結させてやぐらの形を作る方法で強度的に大変優れた方法です。トマトやマメ科の野菜など幅広い野菜に適していますが、強度があるので特にスイカやカボチャなどの重量のある実をならす野菜の栽培に向いています。
やぐら型支柱の立て方
やぐら型支柱は2組の直立型支柱を上で連結させた形です。
準備するもの(ミニかぼちゃやメロンの栽培を想定、畑には180cm×60cmの畝を作りました)
- 支柱 210cm×12本(垂直8本程度:植え付ける苗の数によって調整する+水平4本)
- 支柱 100㎝~120㎝×2本
- 紐(ナイロンやビニール、麻ひもなど)
- クロスジョイントなど
①垂直に支柱をさす
畝の両端に垂直型支柱を立てていきます。立てる本数と間隔は苗の植え付け数によって決めてください。
上の写真はメロンの2本仕立てのために垂直に左右4本づつ計8本の支柱を立てた様子です。
②水平に支柱を入れる
上部に水平に210cmの支柱を入れて左右それぞれを連結させます。そのあと垂直支柱の真ん中あたりで水平に支柱を入れてそれぞれ連結させます。連結にはクロスジョイントを使うと簡単です。
紐で結んでも十分な強度が得られます。
③紐を使ってさらに強化する
紐を使ってさらに強化するには水平に紐を入れましょう。今回はつるをより誘引しやすくするために横に何本かの紐を入れました。
成長すると密集してくるので注意が必要です。株間はできるだけ取ったほうがいいですね。
④左右の垂直型を連結する
短い支柱を上部に入れて左右の垂直型支柱の組を連結させて完成です。心配ならば下の方にも2本の短い支柱を入れて連結させてより強化することもできます。