栽培の特徴
種類 | 科目 | 適正土壌pH | 連作障害 | 栽培難易度 |
トマト | ナス科 | 6.0~6.5 | あり 輪作4年~5年 | ☆☆☆☆ |
基本情報
- 科名属名:ナス科(トマト)ナス属
- 原産地:南米アンデス地方の高地
- 分類:半耐寒性,一年草,草本
- 日照条件:日なた
- 生育適温:25℃から30℃前後(夜間10℃から15℃くらい)
- 水やり:乾燥気味に育てる
- 特徴:連作障害が表れやすい野菜です。トマトやピーマンなど、ナス科の野菜を植えた畑では、4~5年経ってから植えつけましょう。乾燥した日がが続いた後、急激に雨にあたると(給水すると)実が割れることが多い。
- 樹高:低木(30cm~2m)
- 種まき期:2月下旬~4月
- 植えつけ期:4月下旬~5月中旬
- 開花期 5月~9月
- 収穫期 7月7~9月
- 苗の植えつけから収穫までの期間 60日から90日前後
- 開花から収穫までの期間 45日~60日くらい
トマトは、人気夏野菜のナスやピーマン、獅子唐やと同じナス科の1年草で、うまく育てれば夏から秋口まで、長い間収穫できます。トマトの原産地は、南アメリカのアンデス高原地帯ですが、現在では世界中でたくさん栽培されています。 世界で最もポピュラーな野菜の一つですが、もともとトマトを現在のような農業生産物として大量に栽培し始めたのは18世紀に入ってからで、特にイタリアでは加熱料理はもちろん、生食から加工品に至るまで多様に利用され、たくさんの品種が生みだされました。ちょうど同じころ18世紀の初頭に鑑賞用として日本にも伝わり、日本人の食生活の変化とともに徐々に食用利用されるようになりました。
トマトの代表的な品種
トマトの大きさよる呼ばれ方
トマトには大小さまざまな大きさの実をつける品種があります。一般的に実の大きさで大きいものをトマトまたは大玉トマト、小さいものをミニトマトやプチトマト、またその中間ぐらいのものを中玉トマトや、ミディートマトなどと大きさで分類されることが多いようです。それぞれの重さをはかってみるとこのようになります。
- 大玉トマト(トマト):150g以上
- 小玉トマト(ミニトマト・プチトマト):40g以下 :
- 中玉トマト(ミディートマト):40~150g
糖度による呼ばれ方
品種改良により糖度を上げることに成功した品種を、フルーツトマトなどと呼んでいます。
大玉トマト
大玉トマトの代表的な品種には桃太郎があります。1980年台に開発された品種で、市場に出回っているほとんどのトマトはこの品種です。1玉が200~230gと大きく、皮が硬くて崩れにくいことが特徴です。家庭栽培向けに改良されたホーム桃太郎や接木ホーム桃太郎など多くの品種が販売されています。家庭用に品種改良されたものは病気にかかりにくく、育てやすいので、初心者でも安心して育てられます。
ミニトマト
ミニトマトは、その大きさの小ささから、プチトマトなどとも呼ばれます。大玉トマトに比べ、大変育て安い品種でプランターなどでもよく育ちます。収穫量も多く、糖度を上げて開発された品種がたくさん出回っています。そのまま生食に向いています。
アイコ
ミニトマトを中玉トマトの中間ぐらいの大きさで(大き目のミニトマト)付け根の部分と実の先のほうが小さくなった、水滴が落下する時のような独特な玉子形をした品種です。皮は若干硬めでしっかりしています。サラダなどにしてそのまま食べることが多いトマトです。実が黄色いイエローアイコもあります。多収穫で病気にも強い品種です。
中玉トマト
中玉トマトは大きさが実のトマトほど小さくはないが、大玉トマトより栽培しやすい中くだいの大きさのトマトで、糖度を上げて開発された品種がたくさん出回っています。そのまま生食に向いています。
フルーツルビーEX
キャッチフレーズがおいしさにこだわった品種で、糖度が高い中玉トマトです。糖度は6~8%と高く、しっかりとした歯ごたえが特徴です。実の先端が少し尖ったハート形をしています。育てている途中で実が裂けることは少なく、日本の気候に合わせて開発されているので、育てやすいですよ。また、トマトのかかりやすい病気の1つである「キュウリモザイクウィルス」のワクチンを接種してあり、ウイルス病に強いこともポイントです。
その他のトマトの品種
夏野菜のの中でもトマトは大変人気の野菜で、たくさんの栽培品種が販売されています。各社オリジナルの品種を販売しているので、特にミニトマトや中玉トマトは、糖度の高いものから、鈴なりになるも、つるが伸びない小型のものまで多種多様の中から選ぶことができます。また近年では、一般的なスーパーなどでは見ることができない外国産の品種もよく見られます。特にイタリヤンやトスカーナの名前が付いたイタリア生まれの品種が人気です。写真はトスカーナバイオレットとゆう品種でナスのようにナスニンの成分を持っているため紫色に成長していきます。
栽培のコツ
栽培期間や適正気温
トマトの栽培期間は長く、苗の定植からでも通常90日以上です。生育の適温は25℃から30℃前後と高温で、温暖で乾燥気味な環境を好みます。
連作障害
トマトもまた連作障害が起きやすい野菜です。他のナス科の野菜を栽培したところでは3年から5年くらいあけてください。
同じ場所で同じ科の野菜を育て続けると、土壌障害が発生します。よい微生物が減り、悪い微生物が増え、結果悪い病原菌が増え続けます。病原菌が増えると、特定の病原菌が作物について繁殖していきます。さらに、同じ先もつの定植を繰り返すと、悪い病原菌が大繁殖してしまい、土壌に病原菌がいっぱいになってしまい、作物の成長に悪影響を及ぼします。
栽培スケジュール
畑の準備
土つくり
- 種まきの2週間ぐらい前に畑に苦度石灰をまき土壌を中和し、よく耕します。適正土壌pHは6.0~6.5です。
- さらに7日から10日前までに、元肥を施し深く耕します。元肥の目安は1㎡あたり約2kgの完熟たい肥です。同時に化成肥料を施肥しておくといいでしょう。
- 畑の石や木片など根の障害になるようなものは取り除いておきましょう。
畝立て
- 水はけを良くするために、幅60cm高さ10cmほどの畝を立てマルチを張ります。
- マルチを張ることで土の跳ね返りによる病気を防ぎ、土を保温し生育を促進んしてくれます。
栽培管理
種まき、植え付けと株間
- 種から育てる場合は、ポットなどに3粒以上パラパラっと播き、1cmほど軽く盛り土しておきます。
- たっぷり水をやり、本葉2枚~4枚のころから段階的に間引き、最終的に1本立ちにします。
- トマトはは苗から栽培するのが一般的です。少々値段は高くなりますが苗を買うときは、病気などにも強く連作障害の出にくい接木苗をお勧めします。
- 植え付けの株間は、50cm~60cmぐらい確保して(60cm以上あればなお良し)、マルチに穴をあけて植えつけます。
- 植え付け後は風で倒れないように仮支柱を立ててやります。
- トマトの花は同じ方向に咲きます。収穫する側に花を向けて植え付けると栽培がしやすくなります。
仕立て方
2本仕立て
トマトはは1本ないし2本仕立で育てる事が一般的です。2本仕立ての場合は、上に伸びる主枝と、主枝の一番花が咲くところあたりの下脇芽を1本残して、主枝に出たその他の脇芽はすべて摘み取ります。主枝と1本の脇芽をのばして主幹と伸ばしている脇芽から出たその他の脇芽は全て摘み取りながら栽培していきます。ミニトマトの場合は2本仕立てにすることが多いです。
1本仕立て
1本仕立てでは脇芽をすべて摘み取りながら栽培します。収穫量は減りますがその分養分がいきわたりやすくなります。
支柱
2本仕立てで育てる場合
トマトを2本仕立てで育てる場合は、180cmから2m以上の支柱を4本用意して、2組の合掌造りにすると安定します。
畝の両脇に2つの苗を定植して、主枝と育てる脇芽を支柱の合掌しているところに向けてのばしていきます。
1本仕立てで育てる場合
2本の時と同じく合掌造りにして1つの苗に対して1本の支柱に沿わして育てます。
支柱の立て方についてはより詳しくこちらのページにまとめてありますので参照してください。
追肥
追肥は約20日おきに
トマトは乾燥した高山地帯が原産地で水やりも非常に難しい野菜です。また、ナスほど肥料を欲しがらない野菜です。あまりやりすぎたり、間違ったバランスの肥料を与えすぎると、尻腐れ病や茎が2つに分かれたり、成長点である芯が止まって上に伸びなくなったり、様々な成長障害をおこすことがよくあります。通常ナス2週間に一度の追肥に対して、トマトは3週間に一度の割合で追肥します。また栽培の初期段階では最初の追肥のタイミングを逃さないように施肥します。
初回追肥のタイミング
大玉トマトの場合、一番花の実がピンポン玉くらいに成長した時が追肥のタイミングです。
肥料切れと肥料過多のサイン
肥料過多になるとトマトは、葉を内側に丸め出します。また葉の色をよく見ると、正常な状態に比べて濃い緑色をしてきます。逆に肥料切れすると葉の色は黄色に傾き、葉は反り上がります。
脇芽かき
トマトは通常初めに伸ばしている脇芽1本と主枝から出てくる脇芽はすべて摘み取りながら栽培していきます。脇芽を摘み取らずに伸ばして行くと、その脇芽にもたくさんの花芽が付き実をならすことができますが、養分がいきわたらず、実が大きくはなりません。また葉が生い茂り、害虫が増えたり、日光をさえぎって成長の妨げになります。
摘み取った脇芽から簡単に株を増やすことができます。
受粉
トマトは人工授粉の必要はありません。風やミツバチなどの飛来によって自然に受粉してくれます。より確実に受粉させるためにはトマト―ンなどの薬品を使用すると実成がよくなります。
収穫
品種によって異なりますが、実が成長してある程度の大きさになったら収穫します。収穫適期は開花から45日から90日です。実の色が熟して変わっていきますので比較的収穫時期がわかりやすい野菜です。
コンパニオンプランツ
〇 混植に適している植物 good
野菜類
- 枝豆
- パセリ(キアゲハを遠ざける 株元が日陰になりパセリがよく育つ)
- ネギ類
- ほうれん草
- セロリ(水分を吸収してくれる)
花類 ハーブ類
- マリーゴールド(虫よけ)
- サルビア(虫よけ)
- カモミール(虫よけ 野菜を元気にする)
- ミント(虫よけ)
- バジル
〇 前作に植えるとよい植物 good
- トウモロコシ
- マリーゴールドなど
〇 後に植えるとよい植物 good
- キャベツ
- ブロッコリー
× 混植に適さない植物 bad
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- ナス科全般の野菜との混植は互いに生育を妨げる